2026年8月23日から8月29日までに公開された、C#/.NET関連の主なニュースをまとめます。 今週はVisual StudioのGit操作とAIモデル選択が広がる一方で、テストを使った不具合調査やSQL Server接続の再試行など、問題を安全に切り分けるための機能も紹介されました。初心者の方は、新機能の便利さだけでなく、どのデータやコードを扱い、失敗時にどこまで自動で操作するのかを確認すると理解しやすくなります。
Windowsユーザーへの影響
WindowsでC#/.NET開発をしている場合、Visual Studio 2026の更新によって、複数ブランチを同時に扱うworktree、Git submodule、Copilotの思考量、独自モデル接続などの選択肢が増えます。既存の.NET SDKやプロジェクトをすぐ変更する更新ではありませんが、IDEの設定とGitの作業方法には影響します。
また、デバッグやデータベース接続を自動化する機能では、生成されたテストが本当に不具合を再現しているか、再試行してよいSQL操作かを人が判断する必要があります。Visual Studio Insidersやプレビュー機能は、本番用の環境とは分けて小さなサンプルで試すのが安全です。
Visual Studio 2026の8月更新、worktreeとGit submoduleをIDEから操作可能に
Visual Studio Git GitHub Copilot
2026年8月25日、Visual Studio BlogでVisual Studio 2026 Stable Channelの8月更新が公開されました。 対応モデルの思考量をLow・Medium・Highから選ぶ機能、組織で共有するカスタムエージェント、Copilot利用量の確認に加え、Git worktreeとGit submoduleの操作がVisual Studioへ追加されています。worktreeでは別の作業ディレクトリで複数ブランチを並行して開け、submoduleは専用表示から追加、更新、削除ができます。
初心者は、worktreeを「作業途中の変更を退避せず、別ブランチを別フォルダーで開く仕組み」と見るとよいです。実務では、同じブランチを複数のworktreeで扱えない点や、submoduleが既定では読み取り専用である点を確認し、削除操作の前には未コミット変更がないかを確かめましょう。
Visual StudioのBYOMプレビュー、自分で選んだAIモデルをAgent Modeへ接続
2026年8月24日、Visual Studio BlogでBring Your Own Model(BYOM)のプレビューが発表されました。 Visual Studio 18.10 Insidersの新しいAgent(Preview)から、Microsoft Foundry、OpenAI、Anthropic、Ollamaのモデルを接続できます。Community、Professional、Enterpriseで既定有効のプレビューですが、現時点ではすべてのモデルとAgent機能の組み合わせが保証されず、以前に登録したBYOMモデルは追加し直す必要があります。
初心者は、BYOMを「Visual StudioのAI支援で使うモデルと接続先を自分で選べる機能」と考えると分かりやすいです。実務では、APIキーをソースや設定ファイルへ保存せず、コードやプロンプトがどの接続先へ送られるかを確認し、組織向けの集中管理機能がまだ提供途中である点も踏まえて試しましょう。
Visual Studio Debugger Agent、テストを起点に不具合を調査する流れを追加
2026年8月26日、Visual Studio BlogでDebugger AgentのTest-Driven Investigationワークフローが紹介されました。 再現手順が安定しない不具合に対し、Agentが対象を絞ったテストを作成または特定し、そのテストをデバッグして実行時の変数、コールスタック、分岐を調べます。修正は利用者の承認後に適用され、同じテストの再実行と、必要に応じた関連テストで結果を確認する流れです。
初心者は、「まず失敗を自動テストで再現し、その証拠を使って原因を探す」機能として見るとよいです。実務では、Agentが作ったテストが実際の利用条件を表しているかを人が読み、修正前にテストが失敗し、修正後に成功することを確認してから採用しましょう。
Microsoft.Data.SqlClient、SQL Server向けの組み込み再試行機能を解説
https://devblogs.microsoft.com/azure-sql/sqlclient-retry/
.NET Microsoft.Data.SqlClient SQL Server
2026年8月28日、Azure SQL Dev CornerでMicrosoft.Data.SqlClientのConfigurable Retry Logicが紹介されました。
この機能はSqlConnectionとSqlCommandに、固定、段階的、指数的な間隔の再試行を設定でき、SQL Server固有の一時的なエラー判定や再試行イベントも扱います。再試行は既定で無効で、RetryLogicProviderを明示的に割り当てた接続やコマンドで有効になります。
初心者は、短いネットワーク切断などをSQLドライバー側で再試行できる仕組みと考えるとよいです。実務では、更新処理を無条件に再実行すると二重登録につながるため、トランザクションや処理の再実行安全性を確認し、回路遮断や複数サービスをまたぐ制御が必要ならPollyなどとの役割分担も検討しましょう。
Avalonia Port Challenge、既存デスクトップアプリの移行事例を募集
https://avaloniaui.net/blog/avalonia-port-challenge
2026年8月28日、Avalonia公式ブログでDevolutions提供の総額15,000ドルのPort Challengeが発表されました。 既存のWinForms、WPF、VB6、Delphi、MFCなどのアプリをAvaloniaへ移行または再実装し、動作するビルド、移行前後の画面、作業内容を説明する文書を提出する企画です。Windows、macOS、Linuxで動く移行、古いアプリの再生、日常ツール、IT管理ツールなどが評価対象になります。
初心者は、応募だけでなく、今後公開される移行記録を実例として学べる企画と見るとよいです。実務で既存アプリを移行する場合は、最初から全面書き換えを決めず、依存ライブラリ、Windows固有API、配布方法、ライセンスを小さな試作で確認して工数を見積もりましょう。
初心者が次に確認すること
まずVisual Studioのバージョンと更新チャネルを確認し、Stable Channelではworktreeやsubmoduleを小さなリポジトリで試してください。BYOMやDebugger Agentを試す場合はInsiders環境を分け、接続先、APIキーの保管方法、生成されたテストとコードの差分を確認しましょう。
SQL Serverを使うプロジェクトでは、System.Data.SqlClientとMicrosoft.Data.SqlClientのどちらを参照しているかを確認し、再試行を入れる前に一時的エラーと業務エラーを区別してください。WinFormsやWPFアプリのクロスプラットフォーム化に関心がある場合は、画面を1つだけAvaloniaで試作し、Windows固有機能がどこに残るかを書き出すところから始めると安全です。